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言葉言葉言葉―(自惚れは死なず) 


福田恆存といふ存在を私なりに考へてゐる。
その影響力は甚大であり、私自身は福田恆存と松原正氏の敷いた思索の道から一歩も出てゐないと言ふ自覺がある。只今の世の中は、福田恆存はその言説を多くの人に支持されるやうになつてゐる。私は本來ならばその事を素直に慶賀するべきはずである。

なのに私の内心を正直に白状すれば、不愉快千萬といふやつなのである。破格の入門書たる『保守とは何か』を書いた浜崎洋介氏の解説にはかうある。

「そして、回り道の末、ようやく私は福田恆存に出会ったのだった。福田の言葉によつて、これまでの私の彷徨、軽薄、愚行の全てが清算されていくのが分かった。自分の輪郭が書き換えられていくことが分かった」(同書 P.378)

まるでサウロがパウロに囘心した場面のやうである。
私はかういふ言説を聞かされると途端にその人物に對して拒絶反応が出る。

或る人が今までの己の思想と動作を一切克服整理するのを清算といふのである。
そんな事がどうして只の人間如きが出來るのかと、私は思はずにはゐられないからである。むしろそれは、悟つた振りをして他人を氣樂に論ふ特權を享受しようと目論む事であり。清算などでは無く日本古來からある佛教理解の典型に囚われた證據ではないかとすら思ふのである。そして私の疑惑は解説の最後で確信になつたのである。

「福田恆存が亡くなってからおよそ二〇年、戦後日本を跋扈した軽佻浮薄な「主義」達が過ぎ去り、ポスト・モダニズムの浮かれ騒ぎもようやく落ち着いた現在、静かに、そして孤独に、福田の言葉に耳を傾けられる時が来ているのだと思う。来たるべき新時代の未知なる地平など信じる必要はない。確かなのは「私」の歩幅だけである。このアンソロジーが、そんな時代の「今」を支える「過去」からの言葉になることを願っている」(同書 PP.394~395)

かうした物言ひこそが、福田恆存が嫌つた、戰後の輕佻浮薄な「主義」に他ならない。
かつて福田恆存は「近代日本智識人の典型清水幾太郎を論ず」に於て以下のやうに述べてゐる。

「私の言ふ「戰後の風潮」の際立つた代表者の一人である清水氏に私と同じ事が言へる筈が無い。假に言へたとしても、同じ事なら讀む必要は無いし、同じ事が言へる樣な風向きになつたからそれに唱和するといふのが私の嫌ふ「戰後の風潮」であつて、それなら讀まづして批判的にならざるを得ない」

つまり、浜崎氏の言説は、恐らく私の同學年らしくソビエトロシアと東歐圈の崩潰、ポストモダンとやらの退潮を舞臺の袖からじつと見つめて、滿を持しての御登場と云ふ奴で、その遣口は清水氏と瓜二つの有樣である。そんな人物が孤獨とか靜かにとか言ふのは下手な芝居に他ならない。はつきり言ふが浜崎氏は清算などしてゐない。それは以下の對談を見ると分かる。

http://culturestudies.jp/interview/vol03/04.html#.UwBYSd6CheU
「そういう意味でいうと、たとえば、福田が「近代日本知識人の典型清水幾太郎を論ず」という批判文を書いていますが、まさに、近代日本知識人の「典型」というのが重要で、あそこの清水幾太郎は代入項で、実のところ、柄谷でもいいし、宮台でもいいし、もちろん浅田でもいいし、と僕は思っているんですね」

私は、この代入項に先づ何より己自身を入れ無い、總ての人の清算などは信ずるに値しないと考へてゐる。近代日本智識人の批判文に對して眞先に己を當て嵌め、己自身が發する不愉快な生態を直視しない脆弱な精神に一體何が出來るといふのだらうか。

さういふ人は、福田恆存を己自身の「自己防衞→自己正當化→自己劇化→身元證明」といふ一連の便利極まる道具として愛用してゐるに過ぎない。何も浜崎氏に限らない、只今の智識人といふ存在は、自らの紋切型を隱すのだけは長けた悧巧者が溢れてゐるのである。その遣口も戦後直ぐの反省とらやの禊と同じで何の事は無い、衣の下から鎧が見へると言ふ奴である。

飽く迄己の正當化のための論理に拘泥し、歪んだ權力慾を持つものが、揃ひも揃つて福田恆存の言葉を切刻んで、姿拜借する姿は、私には出來の惡い緞帖芝居を見せられる不愉快さを覺えずにはゐられないのである。
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