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読書録其の31―1(生物としてのヒトと人間としての人_1) 

書名:日本はなぜ敗れるのか-敗因21カ条
著者:山本七平
出版社:角川書店
価格:(金781円)消費税別
刊行年:平成20(西暦2008)年11月5日 第二十三刷

書名:虜人日記
著者:小松真一
出版社:筑摩書房
価格:(金1,200円)
刊行年:昭和50(西暦1975)年6月30日 第一刷

 只今の私は勿論として我国では「飢渇」はもはや死語同然の扱いをうけている。いやそんなことは無いという御仁はいるであろう、飢餓の恐ろしさは新聞・テレビ・ラジオ・雑誌・ネットで見聞していて十分に知られているのだとし、そうした情景を見て「心が痛む」やら「怖いものです」や「悲惨です」などど言う返答とともに飢渇は認識されておりますという返答をしてくるのだと思います。しかし、それはその人が飢渇を「人」の視点で捉えているということを表明しているに過ぎないのです。それでは「ヒト」が飢渇となればどのような状態になるかをよく言い表している部分を以下に引用します。

 同じように飢えれば、そういう感情は一切なくなる。そして本当に恐ろしい点は、この「なくなる」ということなのである。小松さんは末尾にはっきりと記している。「いずれにせよ、この栄養失調者の群は、同情されぬ人とが多かった」と。ここは収容所であって、ジャングルのような極限状態でなく、他の人びとはそれほどひどく飢えてはいない。しかし、写真のような姿を現実に目にしても、人びとは、ビアフラや西アフリカの写真を見るようには同情しない。逆に恐怖に似た嫌悪感さえ抱くのである。
 飢えが自分に関係ない遠い異境のことだと思える間は、そして写真等でそれを眺めるにすぎない間は、人は同情する。しかし、この小松氏の絵に対してすら、人びとはそれほどの同情を感じまい。たとえそれが同日本人であっても―――。そのはずであって。それが自然なのである。
 飢え乃至はそれを象徴する姿は、遠くて無関係な間は同情できる。しかしそれが身近に迫れば、人びとは逆に嫌悪する、さらにそれが、本当の自分に迫って来れば、本能的な恐怖か、それに触れまい、見まいとして、その人を逆にしりぞける。そしてそれは、その人がふだん声高に「人道的言辞」を弄していたとて、所詮、同じことなのである。(日-PP.232~233)

 生物としてのヒトの目的は明瞭であり、自身の生命活動維持と繁殖活動というのは当たり前に姿となります。そのヒトから見れば飢渇は何としても避けようとするのはこれまた当然でもあります。眼前に飢渇の景色をヒトが目にすれば、それは「オマエも飢えるぞ」という己自身の「ヒト」の部分から発せられる明瞭な警告信号となりますから、この事象に対して先ず嫌悪感を伴う恐怖を抱くのは、避けられないものとなります。

 私自身はぼんやりしているためと、飢渇が死語となりはてたような時代からの生まれ(昭54年)ですので、この嫌悪感を体験することはありませんでしたが、まだ日本にこの飢渇が存在していた時代に生まれた母(昭27年)は幼少のときに、「モーレードン」からこの嫌悪感を抱いたという話を聞くことがありました。その話によると、ある日母の住んでいた部落で、「モーレードンが来た」という話が伝わるやいなや、皆一斉に家に閉じこもってしまったのですが、たまたま遊びに外に出ていた母は、妹以外は全員不在の自宅に帰る途中で、風体はボロボロの服を着てヒョロヒョロの「モーレードン」が自宅に向っているのを目の当たりにして、恐怖を抱き「妹が喰われる」と心中思い泣き出してしまったそうです。

 その話を聞いた当時の私には、母が「モーレードン」の何に怯えたのか良く分らなかったが、それを嫌悪ある恐怖としていたことだけはおぼろげながら理解することだ出来ただけでした。それから年月は流れ私が、上記2著作を読み、引用部分を目にしたとき、漸くその恐怖の意味を了解することが出来たのです。そして私なりに人間が持つ「人」と「ヒト」のうちで全くといってよいほど無知な後者に対して、次回以降から上記2著の力を借りながら見つめ考えてゆきたいと思います。

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テーマ: 読んだ本

ジャンル: 本・雑誌

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