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読書録其の4(物量物量唱える前に…) 

書名:マッカーサーと戦った日本軍-ニューギニア戦の記録
著者:田中宏巳
出版社:新潮選書
価格:(金3800円+消費税)
刊行年:平成21(西暦2009)年

第二次大戦時において我国が一番「過酷な戦場」は何処かといえば、長期間の煉獄たる「ニューギニア」か短期間の地獄としての「フィリピン」の何れかが該当するのだと思っております。この基準は単純で「戦死者の数」と「連絡線が危ない状況下での作戦期間の長さ」の2つとなります。従って巷で有名なノモンハンやインパールなどは、上記と比較して一番とはなりえないと判断しております。

さて、興味深いところをいくつか引用いたします。
・日本軍はニューギニアから出撃してきたマッカーサーの軍団にまたたく間に踏み潰されてしまった。敗北の一因は、フィリピン戦の直前まで延々と続いたニューギニア戦において、飛行機も大砲も機関銃も使い果たしてしまったことにあるが、ニューギニア戦について無関心な日本人には、こうした関連を思いつかない。(p.21)

・ラバウルまで伸ばした兵站線が国力に見合うものか否か、海軍には考慮する態度が著しく欠けていた。陸軍にしても大差なかったというのが一般的見方だが、南太平洋における戦いでは海軍が主導権を持っていただけに、海軍にこうした科学的認識がなかったことが、部隊を派遣した陸軍を大いに苦しめることにつながった。(p.31)

・しかし陸海軍が対等で、両者の主張が食い違いどちらも引き下がらないとき、一方を採用し他を落とす権限をもったチェアマン不在の統帥権システムにおいては、両者の主張はそのままくっつけるか、実施に順番をつけるぐらいの解決法しかなかった。(p.54)

・調査研究の段階では、まだやるかやらないか答えが出ていないはずで、その時になって計画を履せばいいではないかと思いがちである。しかし日本の組織では、調査研究の着手は実質的に計画のゴーサインであり、何かあった場合に備えて事前にやるげきことはやったかたちを残し、責任を追及されても逃げられるようにしておくのが、組織に身を置く者の知恵であった。(p.66)

・ニューギニアでは急峻がすべりやすい粘土質の土で覆われ、しかも雨を含んで滑り台に近い。(中略)ニューギニアの山は南アルプス型である。(中略)ニューギニアでは、河川の増水で橋や道路が流されるのは日常的現象で、それでも現地人は流されても流されてもまた作り直す自然との闘いを繰り返してきた。(p.68)

・戦後になって生産力が敗北の一大原因であったとする声が起ったが、しかし陸海軍が低い生産力をさらに二分した救いがたい非効率を取り上げる議論がないのはなぜだろうか。(p.90)

・戦後の日本人は、いつでもどこでも米軍兵力が日本軍を圧倒し、これが敗因として割り切る傾向があるが、十八年の夏頃までは、彼我の兵力にそれほど大きな格差がなかった。(p.121)

・驚かされるのは、抽出された戦例は一刻も早く戦訓、教訓として各部隊に周知されていなければならないが、その制度である「戦訓報」の編纂と回覧がはじまったのは昭和十八年六月からで、「戦訓報」第一号が出たのが六月二十日であった。(p.121)

この後も非常に興味深い事実や示唆が多くある書でもあり、また何より貴重なのは我国の戦史研究において影響の大きな「公刊戦史」の縛りから、著者がオーストラリアとの共同研究を取組んだ結果として抜け出しているところです。戦後も六十数星霜の時が流れたいまだからこそ、第二次大戦において我国がもう一度敗れた理由を虚心坦懐に見つめる時期が来たのだと思わずにはいられない良著です。
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ジャンル: 本・雑誌

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