04 // 1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.31. // 06

スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

[edit]

trackback: -- | comment: --

読書録其の30―1(英国海軍思想の我国の知られざる山脈) 

書名:戦略論体系⑧コーベット
編著:高橋弘道
出版社:芙蓉書房出版
価格:(金3,800円 + 消費税)
刊行年:平成18(西暦2006)年10月 初版

我国では名前もほとんど知られていないコーベットの思想の一端を覗くことのできる書物です。我国で海軍思想というとマハンの知名度は群を抜いているものがありますが、コーベットの思想については知名度は皆無というのが我国の現状であります。マハン理論の制約を知らずに我国ではこれを徒に拝跪する人々が多いなかで、コーベットの思想なるものがどんなものかを知ることは裨益することが多いと思います。

さて、それではいつものように紹介をしていきます。
(※):私注となります。

・もしその時代、戦争の実施が変化したとしたら、戦争が他の時代、他の条件で再び変化するということを推定しなければならない。これを認めないで、かつて行われた戦争すべてを網羅しない戦争理論は、いやしくも理論ではない。もし戦争理論が実用的指針として使われるならば、自らが証人となって敵対行為の極端な現象だけでなく、過去に生じ、あるいは将来に繰り返される現象を網羅し、説明しなければならない。(P.29)
→マハンの問題点はまさに「史論」であって、戦争理論では無いということを端的に表現している。実際にマハンの論は陸軍不信を背景とする米国政治状況と、「帆船機動>>陸上機動」を大前提とせねば成り立たないからである。

・防御は、活動を制約する条件であって―――単なる休憩の条件ではない。その本当の弱点は、もし過剰に長引けば、攻勢の精神が死ぬことである。これは非常に重要な真実であるので、攻勢を強要することに熱心な権威者(※マハン含む)は、誤った格言「攻撃は最大の防御」を模倣する。ここで再び防御は馬鹿げた臆病で、常に敗北をもたらし、「軍人精神」と呼ぶものが、攻勢を取ること意外に何も意味しないという素人っぽい考えがある。(P.38)
→よく「帝国海軍はマハンの精神を忘れた」という御仁がいるが、防御ということに対して著作で退嬰という価値判断を下したマハンを素直に読めばむしろ帝国海軍のような思考形式をとるのは自然の成り行きなのである。

・最後の提案―――制限戦争は島国又は海によって隔てられた国家間に唯一永久的に可能なものであり、その国家が限定戦争を望んだときのみ、遠距離の対象を孤立化させるだけでなく、本国領土攻略を不可能にする程度に制海権を獲得するときに限られる。(P.56)

・最も明白かつ単純な形式で表しているものは、疑いもなく最近の日露戦争である。これは、小国が大国の「打倒」なしに大国に意思を強いた顕著な事例である―――すなわち、大国の抵抗力を粉砕(※敵戦力の完全撃滅)することなしにである。それは完全に日本の力を超えていた。明白な事実は、大陸のどこででも、敵の打倒が唯一戦争の正当な形式として見なされ、敵対行為に訴える日本の行動は、狂っていると見なされた。唯一英国だけが、島国がより低次の手段で達成した伝統と本能で、日本に合理的な勝算があると考えた。(P.74)
→つまりロシア皇帝の「戦争にならない」という考えは、当時の大陸諸国の尋常な意見で見ればロシアと勝負にならない日本は最後にはロシアに屈服すると認識していたということか。

・(※「制海権」が領土占領と同一の効果を持つという考え)その類推は、二つの理由で間違っている。その双方が、物質的に海軍戦争の実施に入る。少なくとも領海の外では所有権がないため、海を占領できない。(※中略)なぜなら占領した領土でできるように海で中立を排除できないからである。第二に敵の領土でできたように、軍隊を養うことができない。明白に、そのとき、制海権が領土の占領に類推する仮説から演繹することは非科学的で、確実に誤りに導く(※中略)言い換えれば、公海が国民生活に持つ唯一肯定的な価値は、交通の手段としてである。国民の実生活にとってこの手段は、多少とも、海洋国家にとっては価値がある。敵にこの通航手段を拒否する結果、海上での敵の国民生活の動向を点検できる。それは敵占領地で点検できるのと同じ方法である。そこまではいいが、それ以上はよくない。(PP.83~84)

・それ(※戦争が、完全に軍隊や艦隊間戦闘から成り立っている観念)は、戦闘が、本当に戦争を終わらせ、市民とその集団生活に圧力をかける唯一の手段であるという基本的な事実を無視している。ゴルツ将軍は、「敵主力軍を破砕した後、分離して講和を強いることが、ある状況で、より困難な仕事は……敵国が戦争の負担より講和の方がましだと感じるようにさせることである。これはナポレオンが失敗した点である……港、商業センター、重要な交通線、要塞、そして軍事施設を奪取する必要がある。言い換えれば、すべての重要な財産は、国民と軍隊の存在に必要である」と言う。そのとき、もし海上での類似の手段を行使する権利が奪われれば、戦闘を戦う目的はほとんど存在しなくなる。敵の艦隊を敗北させたとしても、敵は少しだけ悪くなるだけである。(P.88)
→マハンの『海上権力史論』を通読すれば気付く点だが、マハンの論には艦隊決戦に勝利すれば自然と海上優勢を得られるという前提が存在している。一見ロジスティックに言い及んでる部分があるとしても、それは前記の前提を怠ったペナルティを論じているのである。コーベットが指摘するように物理・非物理面のアクセス手段を制することが出来なければ、艦隊決戦に勝利する海軍を作り上げてもその海軍は戦争に対しては意味の無い集団に陥ってしまうのである。

興味深い内容がおおいので今回まこれまでとし、また日を改めて紹介の続きをしたいと思います。
スポンサーサイト

テーマ: 読んだ本の紹介

ジャンル: 本・雑誌

[edit]

« 読書録其の30―2(英国海軍思想の我国の知られざる山脈その2)  |  備忘録4(不可解なる状況に関しての一考察-其の2)  »

この記事に対するコメント

コメントの投稿

Secret

トラックバック

トラックバックURL
→http://cosandou.blog100.fc2.com/tb.php/48-5034513e
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

カウンター

プロフィール

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

ブロとも申請フォーム

QRコード

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。