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読書録其の23(『わからないこと』の価値) 

書名:戦国軍事史への挑戦
著者:鈴木眞哉
出版社:洋泉社
価格:(金860円+消費税)
刊行年:平成22(西暦2010)年6月

それではいつものように紹介をして参ります。

(※):私注となります。

・それでは、陸軍参謀本部の計算とは、どういうものかというと、当時の信玄の所領を一二〇万石とし、一万石について二五〇人を動員可能と見て、約三万という数値を出しているのである。(※中略)氏(※高柳光壽氏)が『三方原の戦』や『本能寺の変・山崎の戦』でいわれていることを要約すると、まず、領地というのは常に変動しているし、そこにいる土豪などの従属関係もはっきりしないことが多いから、そう簡単に把握できないということがある。さらに、そこで当てはめられている石高というものは、すべて慶長年間(一五九六~一六一四)以後のものであり、天正年間(一五七三~九一)以前のものはまったく不明である。(PP.20~21)
→我国の正史主義は表面上は官庁からの資料を貶しつつ、こういった肝心要の部分を批判しないことが多々見られる。

・(※信長が家臣を城下に集めようとしたことは、史料的にも確認できるが)だが、それ以上のこと、たとえば鉄砲兵をどのように集められて、どういう訓練を施されていたかといったことはまったくわからない。そういう肝心なことを説明できないままに新しがってみても始まらないと思うのだが……。(P.37)

・(※著者は、小銃が出てから何故我国の武具は華麗または奇抜なものが増え、また欧州でも同様にそうなったのか疑問に思っていた。)それに答えるものは、なかなか見つからなかったが、ダグラス・オーギルというイギリスの軍人が一九七〇年にロンドンで出した本にヒントが載っていた。その本は、戦車について論じたものだったが、その前史の中で騎兵の美装について触れていたのである。オーギル氏によると、おおいう美々しい格好は、戦闘行為そのものには、ほとんど関係がなかったが、戦場の硝煙の中で敵味方を識別するために必要だったのだという。だが小銃が改良されて射程が延び、さらに無煙火薬が用いられるようになると、そういう出で立ちは、敵のライフル銃兵に絶好の標的を提供するだけになってしまったとある。
→黒色火薬時代の硝煙というものが知りたい人は、米国映画のバスター・キートン『The General』を参考にご覧になると良い、当時の連絡・通信コミュニケーションにおいて、華美なる服装というのがどういった役割を果たしたか知る一助となると考える。

・火縄銃の場合には、安全管理上の必要などから、鉄砲兵は前後左右をかなり空けた形で配置しなければならなかった。よく、織田信長は鉄砲兵を密集させて使ったなどと講釈している例があるが、それは真っ赤なウソである。鉄砲兵を集団としてまとめて使うことと、隙間なく並べることは、まったく別である。(P.132)
→よく催しもので火縄銃を狭い間隔で打ってみせるのを見かけるが、その催しものが「好天下」という条件がついていることを忘れてはならないということか。

・この人たち(※日本刀は比類のない優秀な武器だと信じているような人たち)は、私が戦闘報告書に拠って、鉄砲や弓による負傷者にくらべたら、刀剣類による負傷者など知れたものだといったのが、まず気にくわない。刀剣でやられると致死率が高いから、負傷者の統計には出難いのだという理屈で反発してきた。だが、前項で見たとおり、戦死者の死因がわかる場合でも、鉄砲をはじめとする<飛び道具>による比率が圧倒的に高く、槍でやられた者は若干いるが、刀で切られた者など一人もいない。(P.235)
→何故未だにこの「日本刀神話」が受入れられるかは解らないところが多いが、おそらく江戸時代の武士の二本差という象徴の意味を、戦前・戦後ともに勢力の大きい剣道関係者が「武士道」の名の下に独占しようとする思想上の問題なのではないかと考える。

著者は、最近の我国における応仁~元和時代まで続いた「戦国時代」における遠戦志向(弓矢~鉄砲という変換を通じて)が主流であるという主張を軍事史から唱える人です。その論を知りたいという人は著者の『鉄砲と日本人』を一読されることをお勧めいたします。さて、今回の著作は戦国時代の軍事史では「何がわかっていないか」という率直かつ興味深い話が満ちておりますので、こちらの時代に興味を持ちかつ「無知の知」の大事さを理解されている人でしたらご一読されると得るものが多い書となります。
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