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読書録其の18(政軍関係について其の二) 

書名:軍人と国家 下巻
著者:サミュエル・ハンチントン
訳者:市川良一
出版社:原書房
価格:(金2400円+消費税)
刊行年:平成20(西暦2008)年 第1刷

三週間ほど前に紹介したハンチントンの『軍人と国家』下巻を今回は紹介いたします。

○前回については以下
http://cosandou.blog100.fc2.com/blog-entry-22.html

※():私注となります。

・彼(※マハン)の理論は戦争の哲学ではなくて歴史の哲学であった。かくしてそれは、政治的、イデオロギー的、そして民族的な色彩さえ帯びていた。(※中略)マハンは戦略と政治を混合しようとする傾向をもっていた点で、正統的な軍人の考え方から偏倚していた。彼は海軍将校に向って海軍軍人であると同時に政治家であることを目指すよう忠告し、政治的知識と政治的行動が望ましいことを強調した。(PP.7~8)

→学生時代にマハンの『海上権力史論』を読んだときの違和感はこれだったのだと漸く理解できた。あの書を読んだときに自分には『海軍権力史論』という政治イデオロギーの書に感じたのは故無きことではなかったのだな。

・そして多くの思慮ある軍人が依然として、どの若い将校が戦時における立派な高級指揮官になるか平時において予想することは不可能であり、陸軍は「比較的少数の頭の切れる個人」よりも将校団全体の全般的な能力に依存しなければならないこと、そして抜てきというものが常に政治的な干渉の危険に晒されているということを感じていた。陸軍内部において意見がわかれたため、第二次大戦に至るまで先任順による昇進制度が維持されることになった。(P.29)

→戦時にならなければ、本当に有能な将校は分からないと言うことは真であるが、平時の先任順を戦時にもっていくまま放置した場合には危険に晒されるのもまた事実である。

・(※第二次大戦時)戦争指導上の、アメリカとイギリスとの制度上の真の差異は、アメリカの軍首脳部の大きく拡大された活動分野が彼らに幅広い政治的観点を採用することを余儀なくさせたのに対して、イギリス軍部の活動範囲は制限されていたため、軍部は軍事専門的な見地に固執することが可能であったということである。(P.59)

→第二次対戦中の我国の苦い経験から考えると、英国の「代議制内閣+軍事専門家」が如何にして機能したかは研究に値するものだと思う。

・アイク型とマック型との差は二種類の政治家の差をあらわしている。すなわち、一方は自分が部下より優っているために他の者を指揮するのだというカリスマ的で霊感を与えるような、剛毅な政治指導者のタイプであり、他方は彼がその部下の代表者であるという理由で他者を指揮しているという、弾力性のある、世俗的で、うぬぼれのない政治指導者のタイプである。(P.97)

・軍事費の議会による削減は一般に広範にわたる不特定の、かつ少額のものであるのに対し、議会による増額欲求は、通常特定の集中されたかつ大幅のものである。前者の場合には議会は節約と効率という全般的な利益のため行動しているわけであるが、後者の場合には、ある特定の軍事計画あるいは特定の軍の特定の利益のために行動しているのである。(P.149)

・(※軍組織に対するシビリアンコントロールに効果があるのは予算という論に対し)効果的で責任あるシビリアン・コントロールは、予算の統制ではなくて、政策の統制でなければならない。(P.163)

・(※1950頃のこと)彼(※国防長官)はスタッフを持ち過ぎていた。勿論、これに対する答は、重要な問題は長官がどれだけのスタッフを持つかではなくて、どのような種類のスタッフを持つかであり、またそのスタッフが実際どの程度まで自分で自由に使えるものであるかである、というのであった。スタッフというものは、その考え方がその長の考え方であり、またその利害がその長の利害と一致する時に、執行部に対する唯一の現実的な補佐となるのである。(P.175)

→我国でも残念ながら庁から省となったものの、上記のようなシビリアンコントロールを実現するための防衛大臣のスタッフがおらず、ひたすら軍規模を縮小することでパワーを管理しようとする文官統制(シビリアン・コントロールとは似て非なる代物)がまかり通っている現状である。

朝鮮戦争頃までの米国の政軍関係がどのように変化していったかを概観できるとともに、我国においての文官統制をシビリアンコントロールと誤認することの問題点を掴める点で、興味深い議論が展開されている書ですので、政軍関係に興味をもたれる人がありましたら一読をお勧めしたい書であります。
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テーマ: 読んだ本の紹介

ジャンル: 本・雑誌

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