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読書録其の17(地政学の著作紹介-その二) 

書名:平和の地政学
著者:ニコラス・スパイクマン
訳者:奥山真司
出版社:芙蓉書房出版
価格:(金1900円 + 消費税)
刊行年:平成20(西暦2008)年 第一刷

地政学の著作紹介第二弾として、今回は米国のスパイクマンの著作を紹介いたします。
※():私注となります。
※[]:ルビ部分

・たしかに国際制度(international institutions)(※主権国家という独立単位を前提とする)は国家が解決しなければならない特定の問題について対処するために設立させられたものであり、しかも国家は互いに対する行動を抑制するルールの存在を認めているが、それでも安全保障の最終的な責任は各国自身にあるという事実は変わらないのだ。(P.33)

→当たり前の事のように聞えるが、往々この前提を忘れるのが我国における国際政治論の特徴で、引き受けるべき安全保障の最終責任を国連等の国家以外の機関に委託できると幻想(これが我国の『自称理想主義』)するか、安全保障において国家間の行動抑制をするルールを総て無視する無法者(これが我国の『自称現実主義』)となるかを見てしまうと、あまり理解されていない前提のようである。

・(※パワー・ポリティックスの完全排除と国家間の協力と相互自制を求める提案に対して)あいにくだが、この解決法は世界の政治的な仕組みに存在する、ある特定の基本的な事実を無視している。その事実とは、「国家はそれぞれ独自の根本的な価値観を持っており、この価値観を守るためには紛争も辞さないものであり、また自分たちにとって正当だと考える目的を獲得するためだったら実力を行使することもありえる」ということだ。(P.34)

・地理的なポジションと物理的なパワーは、国際世界を考える際に考慮に入れられなければならない「事実」であり、これらの事実をよりよく理解するためのテクニックは確かに存在する。また、地政学者によって一般化された理論が実際の政策に適用される場合には、常に善悪の倫理判断が考慮される必要があることも忘れてはならない。(P.41)

→我国の「リアル・ポリティック」を主張する人びとが、現実政策を呼号しながら平然と没道義に不感症な論理を吐くことを思うと重い部分である。

・(※対外関係における包囲の不利について指摘の後で)しかしながら、国家が領土的に包囲されても、周辺を「囲んでいる側」の国の経済力が「囲まれている側」の国家の潜在的パワーバランスを圧倒できるほど強力でなければ、その包囲はほとんど意味をなさない。したがって、ある国家の状態を見極めるには、その周辺の自然資源や工業力を注意深く分析し、それがどれほど活用できるものであり、しかも実際にどれだけの力があるかを比較する必要がある。それ以外にも、包囲という状況は、二つの地域の政治統合が比較的うまくいった場合にのみ実力を発揮することを忘れてはならない。(P.69)

→「集団安全保障」や「封じ込め」政策を考える際に真先に考えなければならない要点である。

・地理の現実が教えているのは、西半球(※南北アメリカ大陸を指す)のパワーの中心地であるアメリカの二・五倍の広さと一〇倍の人口を持つユーラシア全体の潜在力が、将来アメリカを圧倒する可能性がある、ということである。たしかに現在(※第二次大戦中頃)では新世界の工業生産力は旧世界のそれとほぼ同じ規模であるが、それでも余りかが統一されたユーラシアのリムランド(※マッキンダーのハートランドを除いた沿岸部分)に直面することになれば、強力な勢力による包囲状態から逃れられないことになってしまう。よって平時・戦時を問わず、アメリカは、旧世界のパワーの中心が自分たちの利益に対して敵対的な同盟などによって統一されるのを防ぐことを目指さなければならない。(P.107)

→これが、スパイクマンの唱える地政学の政策主張の部分であり、論理の暗黙の前提となるところでもあるので念頭におくことが必要となる。

・よって、エアパワーが持っている「自由に向って飛び立つ鳥」というイメージに騙されてはいけない。飛行機が地上から飛び立つことができるのは、地上にあるトラックが、鉄道の物資集積所や港やドックからガソリンや潤滑油や弾薬を運んでくるからである。(P.110)

→この指摘を見ると、我国で口先では「ロジステック」なる言葉を呼号する合理主義者なる人が、第二次大戦時における井上成美提督の「島嶼航空基地戦略構想」を称賛しているが、上記のエアパワーに対する指摘部分に想像力に欠けているという欠陥を保持したままだと強く思わされてしまう。

残念ながら著者は西暦1943年に死去しており、この書はその後において生前のメモやノートや講義などをもとに書かれたものであり、体系性という点には難があるものの、第二次大戦にいたる渦中の分析やアメリカが問題となる状況についての考察、マッキンダーの批判的分析と継承部分の思考部分において一読する価値は高く、前回とりあげたマッキンダーと併読するとより面白い発見がある書だと思います。
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テーマ: 読んだ本の紹介

ジャンル: 本・雑誌

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