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読書録其の14(帝国陸軍の頂点と奈落のみちのり) 

書名:帝国陸軍の栄光と転落
著者:別宮暖朗
出版社:文芸春秋(文春新書)
価格:(金780円+消費税)
刊行年:平成22(西暦2010)年 第1刷

私が贔屓にしている著者の別宮暖朗氏の新刊となります。今回は明治・大正・昭和における帝国陸軍の破断面についての非常に興味深いところが述べられており、一読して裨益することが大きいと考えております。その一部だけとはなりますがいつものように一部を引用して紹介をしてゆきます。

※():私注となります。

・(※日清戦争時の最後通牒の一文)今より五日を期し、適当な提議を出さねば、これに対し相当の考慮をおしまず、もし、このさい(清国から朝鮮への)増兵を派遣するにおいては「脅迫」の処置と認む。

という文言が含まれていた。国際法では「脅迫」とは「挑発」(probocation)を構成し、先制攻撃と等価であった。「脅迫」の処置と認む、とはもし挑発行為に出れば反撃する、すなわち武力行使にでるという意味であった。(P.62)
→我国ではこうした国際関係の重大行為を「紙切れ上のこと」と捉える感覚があるためか、後の時系列に発生した豊島沖海戦の意味を我国の「先制攻撃」と認識する、近現代史家が多いことに対する的確なる回答となる場所である。

・日清戦争における日本の戦没者は一万三千に達したが、一万を超える死者は凍傷を負った軍夫から出た。太平洋戦争の島嶼戦における餓死者を思い出させる。北朝鮮や遼東の寒気を経験した日本人はなく、裏地毛皮コートの準備がなかった。参謀本部の兵要地誌が軍事に片寄り一般経済に及ばなかったためであった。(P.67)
→第二次大戦時においても、残念ながらこの面の弱点は直らず南方地帯の一般経済や慣習に甚だ疎いために我国では、多くの将兵を餓死に追いやってしまった。

・山縣は桂を好まなかったが政務を妨害することはなく、人事には公平であった。日本型の組織では、組織内部の互選人事ではなく、組織外の権威者による人事の方がうまくいくのである。(P.81)
→山縣死後の混乱を知ると重い指摘の部分である。

・龍岩浦事件とは、ロシアが朝鮮領内に軍事基地をつくる、すなわち侵略的行動であった。これは日英同盟の発動要件であった。一国の軍事的行動を口で、すなわち外交で撤回させることはまず不可能である。(P.96)
→戦後は平和主義なる言葉で、こうした戦前の当たり前の常識を忘れてしまい、いとも簡単に当時の日露交渉に締結余地があったと嘯く史家が多いのに苦笑するしかなくなる。

・日露戦争勝利による陸軍への報酬の第一は国民からの信頼であった。いかに予算が縮小されようとも、勲章がちいさかろうとも、軍隊にとって国民からの信頼に代わるものはない。(P.145)

・永田鉄山は青年将校が政治について口出しすると、「余計なお世話だ」というのが口癖であった。永田ありせば、昭和の陸軍の暴走を防げたという評をみかける。だが、どうだろうか。これまでみてきたように、永田自身が暴走の牽引車(※軍主導による純戦時体制と統制社会主義のイデオローグ)であったのだから。(PP.199)
→戦前の我国においては、共産主義は「天皇制」反対の一点を持って取締りがなされており、国有化に代表される社会主義政策そのものに対しては、むしろ歓迎されていた風潮があった、こうした社会主義政策が我国で上手くいかないことを国民の大部分が肌で実感したのは、戦後の配給が如何に上手くいかない配分システムだと自覚する昭和20年代半ば以降まで待たなければならない。

・官僚統制には超えられない矛盾がある。統制とは、官僚による企業支配であり、経営者となった官僚は自由競争を回避し、独占による安定した利益を追求するしか経営の方策が見つからない(P.223)

・戦後になって、省部軍人はそのとき軍内で(※支那事変における)「拡大」「不拡大」論争が起きたと回想している。しかし、戦争の「拡大」「不拡大」という選択肢ができるのは、イニシアチブを握った方であって、支那事変初期においては中国側、すなわち戦争計画の実行を命令した蒋介石がイニシアチブを握っていた。(P.228)
→これは、蒋介石にイニシアチブをとられた(有体にいえば相手からまんまと奇襲攻撃を受けたという)ことを糊塗したい軍官僚の虚栄心を的確に指摘している。
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