07 // 1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15.16.17.18.19.20.21.22.23.24.25.26.27.28.29.30.31. // 09

スポンサーサイト 

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

[edit]

trackback: -- | comment: --

読書録其の8(過ぎ去りし冷戦期の議論を辿る) 

書名:現代と戦略
著者:永井陽之助
出版社:文芸春秋
価格:(金1500円)
刊行年:昭和60年

それでは、いつものように引用にて紹介を致します。
※():私注となります。

・要するに日本の安全保障をめぐる真の争点は、次のことである。つまり、日本は、国際環境の変化いかんをとわず、まずこれだけは必要最小限度の兵力(基礎的防衛力)を拡充することが先決と考えるか、それとも、増大するソ連の軍事的脅威に対処して、日本の防衛力の増強にふみきるべきか、をめぐる論争なのである。(P.21)
→これが寄せて返す波の音のように我国防衛論議に一貫してながれる論調となっている。

・(※森嶋説や海原説を取り上げて)逆説的ではあるが、両理論とも、”明快”で、論理的整合性をもつがゆえに、日本の安全保障論としては、吉田ドクトリン以来のあいまいな正統派(主流派)の、卓越した政治的リアリズムに対抗しえないのである。両者とも、局外者、傍観者(評論家)の理論であって、当事者、責任者の理論ではないからである。(P.37)
→後段の指摘は今でも耳に痛いが、なかなか国民に防衛論議が理解されない点を明確にしている。

・(※西暦1982年夏のシリア・イスラエル間の空戦を紹介して)つまり、真相は、シリア戦闘機パイロットと地上管制官とのラジオ交信の傍受という、はなはだ原始的ではあるが、きわめて有効な情報収集能力をかくすためであった。つまりそのため、わざと、E-2C・ホーキー・レーダー機を口実につかったということである。(P.99)
→なんでも新技術で解決を図る米軍流の真似を推奨するのを慎重にさせてくれる。

・このことは裏がえすと、かりに完全な専守防衛型システムが完成されたあかつきこそ、人類は、核戦争の淵にたたされることになるえあろう。この逆説が理解できないひとは、現代の戦略をかたる資格がない。(P118)
→不吉な警告だが、TMDを推奨する人はせめてこの論理を頭の片隅において議論して欲しく思わされる。

・(※我国の戦前の軍部と戦後のソ連指導者を比較した後で)むしろ、われわれ日本人のほうが、自分で気がつかないうちに、国際常識からはずれた無法者になっているかもしれないことを、たえず反省しなければならない。(P230)

私自身は生まれが昭和54年の身ですので、冷戦の一端をほぼ見ることなくソ連崩壊という結果のみを体験した身ですので、この時代りどういう防衛論議がなされていたかを、この著を紐解いておぼろげながらその当時の雰囲気を知ることが出来る点で有益なものがあります。ただ、著者の「吉田ドクトリン」なるものがドグマと見分けがつかない硬直性を保持している点は、戦前の軍部のコントロール失敗の恐怖感から、戦後になって「軍そのものを小規模」にしてコントロール可能にしようという思想がよこたわっているように思えます。
スポンサーサイト

テーマ: 読んだ本

ジャンル: 本・雑誌

[edit]

« 読書録其の9(人物好悪と功績評価は別々に…)  |  呟き(クラウゼヴィッツ偶感その弐) »

この記事に対するコメント

これも読みました。

二等兵であります。この本も新刊出た時読みました。枯山様は古書店で入手したのですね。
論旨は私も同意見です。(しかしよくみつけましたね。まあ家の近所のブックオフでも、
超掘り出し物が100円で時々売られています。無論即購入です。ことの良しあしは
別ですが・・・)

森嶋説も今となっては大笑いですが、当時は文春(月刊文春ですぜ、70年代終わり大学生
の頃)に大真面目で語られたのです。ホント大笑いです。森嶋先生経済学者としては立派だ
と思うのですが・・・、です。

まあ今でも「極楽とんぼ」の人は大勢いますからね。我が国は総理大臣からしてそうだし、
この人ホントに「東大?!」と毎日突っ込みを入れてます。兵頭先生が現れるまで、日本の
「防衛論」は不毛な議論?にもなっていない、罵りあいの連続でした。

「地政学」という言葉を初めて知ったのはこのころでして、蔵前盛道(故人)著の「悪の論理」
という本です。内容は一部煽情的ですが、「ロシア人・中国人」に対する分析は鋭いです。
今、「地政学」の本たくさん出ていますが、この本も面白いです。機会あればご一読をです。

二等兵 #- | URL | 2010/04/01 10:37 * edit *

Re: これも読みました。

二等兵様

当時の雰囲気というのを知るのは非常に難しいもので、今は森嶋説を笑うことを誰もはばからなくなりましたが、当時としては「共産ロシア」の武力という恐怖に裏打ちされた「日本焦土化」というシナリオを現実味を持っていたため、「我国だけの利害」だけを考えた「降伏論理」に一定層の支持が在ったのではないかと愚考しております。小学校時代に「共産ロシア」の崩壊を目の当たりにしてしまった私には、残念ながら当時の緊張感を理解できないのではないかと考えることがありまして、なるべくこうした当時の時局物の古書を購読しようとしております。

蔵前盛道氏ですか、情報の御提供ありがとうございます。地政学は私は学生時代に興味をもちはじめ随分と背伸びをしてマハンを読んでみましたが、あまり理解できず興味が湧かなかったためそのままにしておりましたが、近年復刊されました『マッキンダーの地政学』が興味深いところがあったので、地政学にも再び挑戦してみようかなと思います。

林 枯山 #- | URL | 2010/04/02 21:21 * edit *

返信ありがとうございます。

返信ありがとうございます。当時は79年の暮れに、ソ連のアフガン侵攻がありました。
「ソ連軍日本上陸」なんて架空戦記も出てました。当時からオタクだった私は、ソ連赤軍
には「渡洋作戦能力」がないことを知っていました。それに高度の教育を受けた、ソ連軍
の高級将校はどこぞの国の「参謀」とは違い、出来ない事を夢想するような馬鹿げたマネ
はしません。

無論私だけでなく、政府・防衛庁関係者なら誰でも知っていたと思います。予算獲得他
諸々の政治的理由により、黙っていただけなのです。この事は兵頭先生ご指摘の通り
です。(軍事オタクの私ですら、市販の資料読んで解ったのですから)

左右の論調も「コップの中の嵐」的なもので、緊張感などありませんでした。80年代
前半は「バブルの前付け」みたいなのもので、社会全体に「軽佻浮薄」な雰囲気が
漂っていました。中江兆民が我が国民性を評して、こう言ったのは的を得ています。
金儲けのみに夢中だったのでしょう。残念な事です。

今もそうです。所詮「パンとサーカス」なのです。あとあいも変わらぬ「目先の金儲け」
です。

私は失われた20年ではなく30年だと思っています。

それはさておきマッキンダー先生の「デモクラシーの理想と現実」は名著です。
翻訳された時、私も読みました。復刊されたのですね。慶賀のいたりです。
翻訳された曽村保信先生の「地政学入門(中公新書)」も入門としては面白い
です。「海の政治学(中公新書)」もお読み下さい。勉強になります。そして
「ペリーは何故日本に来たか(新潮選書?)」これもお勧めします。

曽村先生も故人になられたみたいですけど・・・・、兵頭・別宮先生も面白いですが、
曽村先生もです。

ではまた・・・・・











二等兵 #- | URL | 2010/04/03 12:42 * edit *

コメントの投稿

Secret

トラックバック

トラックバックURL
→http://cosandou.blog100.fc2.com/tb.php/13-ee3f1e3e
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

カウンター

プロフィール

最新記事

最新コメント

最新トラックバック

月別アーカイブ

カテゴリ

検索フォーム

RSSリンクの表示

リンク

ブロとも申請フォーム

QRコード

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。